記事要約
フルリモート転職は「出社ゼロ」だけを見て決めると失敗しがちです。大切なのは、①制度としてフルリモートが担保されているか(配属後に出社へ戻るリスクはないか)、②評価・コミュニケーションが非対面前提で設計されているか、③リモートでも成長できる学習・レビュー文化があるか、の3点です。本記事では、SES在籍の若手エンジニアが“名ばかりフルリモート”を避け、キャリアと年収を伸ばせるIT企業を選ぶために、業態別の実態、求人票・面接での確認ポイント、転職準備の進め方まで具体的に解説します。最後に、面接でそのまま使える質問例や、リモート適性のセルフチェックも掲載しています。読後には、次の応募先を絞り込めます。
フルリモート勤務を希望する若手エンジニアが増えている理由
SESエンジニアが抱えやすい働き方の課題
SESで経験を積んできた若手エンジニアほど、「案件にアサインされるまで働き方が読めない」「現場に常駐しているのに評価は自社基準で曖昧」「スキルアップより稼働優先になりやすい」といったモヤモヤを抱えがちです。特に出社中心の常駐案件では、通勤コストと拘束時間が増え、学習や副業、家庭の時間が削られやすくなります。こうした背景から、働く場所の自由度が高いフルリモートは“生活を整えながら、長期的に成長するための土台”として選ばれるようになりました。
ただし、フルリモートは万能薬ではありません。対面の雑談が減るぶん相談のハードルが上がり、成果の見せ方も変わります。だからこそ「フルリモート=ラク」ではなく、「フルリモートでも成果と成長が出る環境を選ぶ」視点が重要です。
フルリモートが注目される背景(働き方・市場動向)
企業側にとっても、リモート前提にするメリットは大きいです。採用対象が首都圏に限定されず、地方や海外も含めて人材を確保できる。オフィスコストを最適化できる。さらに、開発組織の生産性を上げるためにドキュメント化や自動化が進み、結果としてチーム運営が強くなるケースもあります。
一方で、フルリモートを“掲げる”企業は増えましたが、実態はまちまちです。制度としては可能でも、プロジェクト都合で出社が増えたり、評価が出社前提のままで不利になったりすることもあります。検索意図としては「どこを見れば本当にフルリモートの会社を見抜けるのか」「将来のキャリアにプラスになるのか」が核心になります。
フルリモート可能なIT企業とは?基本的な定義と種類
フルリモート・リモート可・一部出社の違い
求人票でよく見る言葉は似ていますが、意味が違います。フルリモートは“原則出社なし”を前提に、働く場所を限定しない働き方です。リモート可は“状況により出社あり”で、週1〜数回出社や月数回の出社が含まれることが多い。一部出社(ハイブリッド)は“出社が基本で一部リモート”のこともあります。
見分けるコツは、言葉ではなく運用ルールを見ることです。たとえば「入社後1〜3ヶ月は研修で出社」「セキュリティ上、特定工程は出社」「顧客折衝は訪問」といった条件が付く場合、生活設計は大きく変わります。あなたが求めるのが“居住地の自由”なのか、“通勤時間の削減”なのか、“集中できる環境”なのかで、許容できる出社頻度も変わるため、まず自分の優先順位を言語化しておきましょう。
自社開発企業/受託開発/SESでのリモート事情の違い
フルリモートの実現度は、業態で大きく変わります。自社開発(プロダクト企業)は、社内でプロセスを設計しやすく、リモート前提の文化をつくりやすい傾向があります。受託開発は顧客要望の影響を受けるため、案件次第で出社が混ざることもある。SESはさらに顧客都合に左右され、同じ会社でも案件によって働き方が変わることが珍しくありません。
だからSESからフルリモート転職を狙うなら、「会社の制度」だけでなく「配属の決まり方」「案件の選択権」「出社が必要な案件を回避できる仕組み」をセットで確認する必要があります。ここを曖昧にしたまま入社すると、“入社時はフルリモートだったのに、次の案件で出社に戻る”というミスマッチが起きやすくなります。
フルリモートIT企業を選ぶ際の重要なチェックポイント
契約形態と勤務実態(名ばかりフルリモートに注意)
最初に見るべきは、雇用契約と就業規則に「勤務地」「勤務場所の定義」「転勤・出社命令の条件」がどう書かれているかです。求人票にフルリモートと書かれていても、雇用条件に「業務上必要な場合は出社を命じる」だけが残っていると、最終的には会社判断で出社が増える余地があります。もちろん、例外がゼロの会社は少ないのですが、“例外の範囲”が重要です。
面接で確認するときは、抽象的に「フルリモートですか?」と聞くより、具体のケースで聞くほうが本音が出ます。例えば「プロジェクト変更時に出社案件へ切り替わることはあるか」「入社後の研修やオンボーディングは完全オンラインか」「顧客とのセキュリティ要件で出社になる工程はあるか」などです。回答が曖昧な場合は、出社が増えるリスクを織り込んで判断しましょう。
また、フルリモートであっても“勤務実態”が過酷なケースがあります。チャットが深夜まで止まらない、常時オンラインを求められる、会議が多すぎて集中できない。こうした問題は、制度ではなくマネジメントの成熟度が原因で起きます。次の「評価制度・コミュニケーション体制」で見抜いていきましょう。
評価制度・コミュニケーション体制
フルリモートで成果を出すには、「何をやれば評価されるか」が明確で、成果が可視化される仕組みが欠かせません。評価が“出社して頑張っている感”に寄っている会社だと、リモート側が不利になります。逆に、目標設定(OKR・MBO等)とアウトプット(コード、設計、ドキュメント、レビュー、改善提案)が結びついている会社は、場所に関係なく評価されやすいです。
コミュニケーションの設計も要チェックです。テキスト中心で意思決定が残る(議事録・ADR・仕様の履歴がある)、非同期で回る(急ぎ以外は即レスを強要しない)、1on1やメンタリングが定期である。こうした仕組みがあるほど、若手でも相談しやすく、成長の機会を取りこぼしにくくなります。
さらに、チームの分断を防ぐ工夫があるかも見てください。たとえばオンボーディングのチェックリスト、ペアプロ・モブプロの仕組み、レビューの基準、質問チャンネルの運用など。フルリモートの“孤独”を仕組みで解消している会社は、再現性が高いです。
教育・フォロー体制は整っているか
若手がフルリモートで伸びるかどうかは、教育とフォローの密度で決まります。対面で横から教えてもらう環境がないぶん、学習コンテンツの整備や、実務に紐づく課題設計が必要です。具体的には、入社後に「何を」「どの順番で」「どの品質で」できれば一人前かが定義されているか。評価と育成がつながっているか。ここが曖昧だと、リモート環境では迷子になりやすくなります。
確認のポイントは、研修が“座学だけ”で終わっていないかです。例えば、実プロダクトの改善課題に小さく参加する、レビューを通じて設計思想を学ぶ、テストや運用も含めてシステム全体を理解する、といった実践設計がある会社は強い。逆に「動画見て終わり」「配属は現場任せ」だと、成長スピードは上がりにくい傾向があります。
SES在籍の若手エンジニアが特に注意すべきポイント
案件都合で出社に戻るリスク
SES出身者がフルリモート転職で一番つまずくのが、“配属後の働き方が変わる”リスクです。自社開発でも、顧客常駐に近い形でプロジェクトを回す会社はありますし、受託で客先作業が混ざることもあります。入社時にフルリモートでも、次のプロジェクトで「週3出社」が発生したら、居住地の自由は失われます。
このリスクを下げるには、入社前に「プロジェクトの割合」を聞くことが有効です。たとえば自社プロダクト比率、受託比率、常駐比率。さらに、出社が必要な案件が出た場合の扱い(希望を出せるのか、断れるのか、代替案件があるのか)も確認しましょう。遠慮して聞かないと、後で必ず困ります。聞くこと自体は失礼ではなく、フルリモートを希望する以上“当然の確認”です。
キャリア形成が属人的にならないか
もう一つの落とし穴は、キャリア形成が“現場ガチャ”になることです。SESでは案件次第で技術領域がぶれやすいですが、転職後も同じ構造だと、フルリモートになっても市場価値は上がりません。若手のうちは特に「何ができるようになったか」を語れる状態をつくることが重要です。
おすすめは、キャリアの軸を「役割」で決めることです。たとえばバックエンド開発、SRE、QA、自動化、PM補佐、データ基盤など。役割が決まると、必要なスキルセット(言語、フレームワーク、設計、テスト、運用)が見えてきます。企業選びでは、その役割で成長できる“階段”が用意されているかを見てください。ジョブディスクリプションが明確で、昇格要件が言語化されている会社は、属人化しにくいです。
フルリモート環境でも成長できる企業の特徴
技術力・ナレッジ共有の仕組み
フルリモートで強い組織は、例外なくナレッジ共有が仕組み化されています。具体的には、ドキュメントが一次情報として整備されている、意思決定が残る、オンボーディングがドキュメントで回る、といった状態です。SlackやTeamsのログに情報が散らばっているだけだと、後から参加するメンバーが学べず、質問も増えて生産性が落ちます。
また、社内勉強会や輪読会が“参加したい人だけ”になっていないかも見てください。若手が伸びる会社は、学習の場が定期開催され、業務と接続しています。例えば「今月の障害対応から学ぶ」「パフォーマンス改善の事例共有」など、実務の課題が題材になります。こうした場があると、リモートでも学びが連鎖しやすいです。
レビュー文化・育成制度の有無
レビュー文化は、フルリモートの成長エンジンです。コードレビュー、設計レビュー、仕様レビューが当たり前に行われ、基準が共有されている会社では、若手が品質を学びやすい。レビューが形骸化していると、リモートでは“放置”になりがちです。
育成制度については、「メンターが付くか」だけでは不十分です。メンターの役割(技術相談、キャリア相談、評価へのフィードバック)が明確で、面談頻度や期間が決まっているかが重要です。さらに、評価と育成がつながっていると、学習が目的化しません。例えば「設計を説明できる」「テスト観点を持って実装できる」「運用を意識した変更ができる」といった能力が、具体の評価項目に落ちている会社は、成長の方向性がぶれにくくなります。
フルリモート転職を成功させるための準備と行動ステップ
転職前に整理すべきスキル・経験
フルリモート転職では、面接官が“あなたの仕事ぶり”を直接見られません。そのぶん、言語化の力が評価に直結します。まず、直近1〜2年でやった案件を棚卸しし、「目的」「役割」「工夫」「成果」を一枚で説明できる状態にしましょう。たとえば「テスト工数を〇%削減」「障害件数を減らすために監視を改善」「手作業を自動化してリードタイムを短縮」など、数字がなくても“改善の方向”が伝われば十分です。
次に、リモート適性として見られやすいポイントを補強します。報連相のタイミング、タスクの分解、見積りの根拠、仕様の確認方法。これらは技術力そのものというより、仕事の進め方の能力です。SESで現場経験がある人は、すでに素地があります。違いは、それを言語化できるかどうかです。
行動ステップとしては、①求人票で“フルリモートの条件”を一次フィルタ、②面接で“例外条件と運用”を深掘り、③内定後に“配属と評価の合意”を取る、の順番がおすすめです。焦って応募数を増やすより、確認を丁寧にしたほうが最終的に成功率が上がります。
面接で確認すべき質問例
面接では、相手の回答の具体性を引き出す質問を用意しましょう。例えば次のような聞き方だと、運用のリアルが見えます。
まず働き方については、「直近3ヶ月で出社したケースは何が理由でしたか」「入社後のオンボーディングは何日・どんな形式ですか」と聞く。制度ではなく“実例”を聞くのがコツです。
次に評価については、「半年後に期待されるアウトプットは何ですか」「評価は何を見て決まりますか。ドキュメントやレビューも評価対象ですか」と確認する。リモートでは可視化された成果が重要なので、ここが曖昧な会社は避けたほうが無難です。
最後に成長環境については、「コードレビューの体制と平均リードタイムは?」「学習や勉強会は業務時間内にありますか」「若手が詰まりやすいポイントをどう支援していますか」といった質問が有効です。回答が“人による”に寄りすぎる場合、仕組みが弱い可能性があります。
フルリモートIT企業への転職が向いている人・向いていない人
自己管理が求められる働き方の現実
フルリモートは自由度が高い反面、自己管理が求められます。時間管理、健康管理、タスク管理を自分で回し、困ったときに自分から助けを求める必要があります。ここが苦手だと、成果が出ずに評価が下がるだけでなく、孤立してメンタルが削られやすくなります。
また、情報が自分から取りにいかないと入ってきません。対面なら耳に入る話が、リモートでは流れます。だから、チャットの読み方、議事録の追い方、ドキュメントの更新習慣など、“情報を拾う力”が重要になります。逆に言えば、この習慣が身につけば、場所を選ばず成果を出せる強いエンジニアになれます。
リモート適性のセルフチェック
向き・不向きは才能というより、準備と習慣で改善できます。たとえば、タスクを小さく分けて進捗を共有できるか、分からないことを早めに相談できるか、文章で要点を伝えられるか。これらができれば、フルリモートでの評価は上がりやすいです。
もし現時点で不安があるなら、転職前に“疑似リモート”を試してみてください。学習計画を立てて週次で振り返る、個人開発やポートフォリオでIssue管理をする、文章での報告を意識する。こうした小さな練習が、入社後の立ち上がりを大きく変えます。
よくある質問
Q1. フルリモートと書かれているのに、入社後に出社が増えることはありますか?
あります。特に「プロジェクト変更」「顧客要件(セキュリティ)」「オンボーディング」などを理由に出社が発生するケースが多いです。面接では“制度”ではなく“直近の実例”を聞き、例外条件を具体化しておくとリスクを下げられます。
Q2. SESから自社開発へ行けば、フルリモートは実現しやすいですか?
一般に実現しやすい傾向はありますが、会社ごとに差があります。自社開発でも顧客常駐型の運用をしている場合や、出社前提のプロセスが残っている場合は注意が必要です。
Q3. フルリモートだと若手は成長しにくいですか?
成長しにくいのではなく、“成長の仕組みが弱い会社”だと伸びにくい、が実態です。レビュー文化、ドキュメント、メンタリング、オンボーディング設計が整っている会社では、若手でも十分に伸びます。
Q4. 面接でフルリモートの実態を聞くと印象が悪くなりませんか?
聞き方次第です。「働き方の前提を確認したい」というスタンスで、具体のケース(研修、配属、プロジェクト変更時)を質問すれば、むしろミスマッチを防ぐ真剣さとして伝わります。
Q5. フルリモート転職で評価されやすいアピールは何ですか?
「成果の可視化」と「仕事の進め方」の説明が効きます。タスク分解、進捗共有、仕様確認、改善提案など、リモートでも自走できる行動を、具体のエピソードで語れるように準備しましょう。
まとめ
フルリモート可能なIT企業を選ぶうえで重要なのは、“出社がない”という表面ではなく、出社が増える例外条件、評価とコミュニケーションの設計、リモートでも学べるレビュー・育成文化の3点です。特にSES在籍の若手エンジニアは、配属やプロジェクト変更で働き方が変わるリスクがあるため、面接で運用の実例を深掘りし、入社後のイメージを具体化してください。準備と確認を丁寧に行えば、フルリモートは「生活の自由度」と「市場価値の向上」を両立できる選択肢になります。
